六藤椰子〃の記(しるし)

思ったこと、考えたこと、まとめてみました

イエスマン

予め断っておきますが、映画「イエスマン」とは一切関係無い内容であり、ましてやその映画を批評や比喩をしている訳ではございません。ご了承くださいませ。

 

 

 

人は人を騙す。騙されていると言う事は勘付いている。

鬱とは気づかず、信頼をしようと行動する。騙されるだけだ。人は己の利益の為だけに弱みを利用する。そんなものだ。

 

僕はかつて「ノー」とは言えない性格だった。

それが災いとなった。口は災いの元とはよく言ったものである。人を信頼しようとするあまり、他人に流されやすくなる。

それが原因で数十万以上もの借金をした事になり、自分を自分で追い込むようになった。鬱は増すだけ。他人は知らない。そんな世界だ。

 

当時は永遠のようにも思えた実態を振り返って、ここで明かそうかなと思います。

 

最初は上京したあと、オナベバーに勤め始めた。仕事を始めるにあたって、朝早く仕事先の店長と待ち合わせをしていたら警察官に交番まで補導された。女性と勘違いしたのか、「この待ち受け良いねぇ」などと色々雑談をしてきた。暫く雑談したあと、捕まる事もなく注意されただけで、そのあと店長に会って店まで案内してもらった。

一日、三千円。お客こそは掴めなかったが、給与があっただけでも幸いした。それで毎日やりくりして生活していた。確か二十歳頃の事だ。家賃は3万のボロアパートで、お風呂はなし、水道は住居者全員が共同で利用するものだったので、それぞれ割り勘と言う形となっていた。浴場が家の直ぐ目の前にあるので、お風呂に関してはそこを利用していた。偶に父親が家族を連れてみんなと一緒になってご飯を食べる…と言う生活を繰り返していた。千円ずつ貯めていた記憶がある。しかし、なかなかお金は貯まらなかった。

 

月日が流れるが、別の職場、バーで働いていた時の事だ。僕は当時好きだった社長に建設関係の仕事を紹介された。それまで好きでも何でもなかった社長に対して、次第にメンヘラっぽくなっていたと思う。そこを更に利用されたものだった。

 

紹介された先は建設業界で、基本的に解体を主にする雑工専門の、元請けの会社だった。構造的には派遣の派遣、と言う形である。業務委託契約に違反するものかどうかまでは知らない。と言うか、分かりたくもないし、今更分かったところで、そこで仕事をしている人達に対して失礼になるので、それについては一切触れないでおく事とする。

 

僕は社長に紹介され、そこの会社の寮に住む事となり、働く事となった。

ここの会社の上司は良い人だった。今でも交友関係は続いている。最初に社長に紹介された理由を教えてもらった。それは数百万円を僕が社長に借金しているから働かせて返せと言うものだった。寮に住んだその日に上司から直接その事を伝えてもらい、「録音するから電話しろ」と言ってきたので、僕は理由を問いただすと、「○ね」と言われて電話を切られた。暴言に対しては家庭の事情の上、慣れていたが、ショックだった。

僕は恩返ししようと仕事を頑張る事にした。

週に六日、午前5時から午後8時過ぎ頃まで。遅刻せず倒れる事もなく一か月間働いた。初任給は2万円だった。寮の費用、その他諸々込みとのことだ。支払い方法は社長からの手渡し、と言う形となっていた。紙に明細も書かれてあった。

恩返しとして働き続ける事にした。しかし給与は二か月に一度。この会社は直接借金出来るシステムだった。お金が足りない時は借りる。そうすれば、その分の給与は差し引いて頂く、と言うものだった。当然、初任給の時に借金はしてなかった。

他のスタッフはしていたらしかったが、そこまでツッコムような事はしない。

僕は借金しないように、細々と、月に最高で3万円借金してやりくりし、炊飯して節約、当時は永遠と思えるような日々を繰り返した。何度も何度もパワハラもあった。元請けの会社であった事もあり、僕が勤めている会社では「上の会社に失礼がないように」と一切逆らわないルールも存在していた。暗黙の了解と言うやつだ。

 

6カ月間働いた。給料にして三回分である。

 

一切遅刻はしなかった。ありとあらゆるパワハラにも耐えた。上司が部下の許可無しに、休みの日に仕事を入れた日もあるが、抵抗しなかった。恩返ししようと決めていたからだ。

僕は仕事を辞める一か月前に社長に辞めると言う事を伝えるように上司に伝えた。数日後にその事を伝えてないと言う事に勘付いた僕は、伝わってない事が分かり、逃げられないとも思った。友人に伝えたが、そのあと友人に謝罪して、自ら辞めると言う事を、あえて上司の前で電話で「辞める件ですが…」と伝えると、案の定伝わってなかった事が発覚し、やがて半年で何とか辞められるまでに至った。

しかし、退職する時に給与はもらえなかった。もらえる気配すらなかった。

僕は上司と約束し、退職してから数か月後に上司から直接貰える事となった。(それでも計算上では三十万以上もの差額はありますが、請求はしませんでした)

上司が直接支払ってくれたのかもしれない、そんな気がしたからだ。

 

僕はいろんな人に利用されてきた。しかし、恩返ししたいと言う気持ちもあり、周りからどんな事を非難されようとも上司はやっぱり、感謝するべき人として、現在も交友関係が続いている。この他にも、友人からの借金や、芸能界での求人からのレッスンなど、いろんな経験があるけど、省いておく事にしよう。

 

僕は信頼をしようとして、何度も騙された経験・過去がある。その事は代わりようのない事実だけど、それを経験として蓄えた現在の僕がいる。この過去がなかったら、いまの僕はどうなっていただろう。